2.1.2.吹奏楽の最近のブログ記事

 あれから半年。今日12月5日、第83回に引き続き、第84回の松本公演に行ってきました。うちの研究室のObのMさんの最後の雄姿を見に行ってあげないと、ということで行ってきました。
 でも、いきなり遅れてしまいました。雨が降っていることに気づかず、雨合羽を探していたら遅くなってしまいました。最初の「魔弾の射手」はロビーで聴くことになってしまいました。天気予報を全く見ていなかったです。前日まで2日連続で大学に泊まりで仕事をしていて、天気にまで注意が向いていない状態でした。
 ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」から聴き始めました。場所は、会場全体の中央付近から、やや後ろより、ステージに向かって左よりあたりでした。場所としてはよい席でした。
 ラフマニノフについて言えば、ラフマニノフ自身はあまりオーケストレーションがうまくありません。なので音が薄いです。私は、聴く前から、そこのところを心配していました。前回の演奏会では、オケの弦の薄さとピッチが気になっていました。弱奏部でピッチがおかしいとかなり痛くなってしまう可能性があるんじゃないかとか、弦が薄いとメランコリック感が出ないのではないかと心配しつつ聴き始めました。しかし、弦の人数が結構いたので、薄さはかなりカバーできていたようで、思った以上にメランコリック感も出ていたように思いました。変な言い方ですが、初心者もいるであろう学生オケですが、その不器用な感じが、ラフマニノフのメランコリックさに独特の味付けになっており、これがよい感じを出していたようにも思われました。多少残念だったのは、ホールの音響のせいか、あるいは、オーケストラが厚すぎたからかわかりませんが、ピアノの音がオーケストラにかき消されてしまうところが多々あり、ピアノの細かいフレージングが聞こえなくなるところがありました。さて、ピアノのアンドレイ・イエーメツは、この曲をさらっと弾いてしまいました。灰汁がなさ過ぎて「えっ、スルーかよ」という感じがするところもありましたが、技巧的には崩れることはありませんでした。ところで、私は、半年ほど前に、何年か前に録音された辻井伸行と佐渡裕の同曲のCDを聴いてがっかりしました。技巧だけでメランコリック感が全くないラフマニノフは、クリープを入れないコーヒーどころの話じゃありません。やっぱり、この曲は、色気を要するのだと再認識した次第ですが、この点について言えば、さらっとしているとはいえ、20代半ばのイエーメツの方がしっかりと恋の経験をもっているようでした。彼が30代半ばになったら、第3番も聴いてみたいかもと思いました。ともあれ、全体としてはまとまっており、特に第1楽章の中盤あたりは、ピアノとオーケストラの一体感があって、なかなか聴き応えのある音楽になっていました。
第1部のアンコールでは、イエーメツがショパンの「英雄ポロネーズ」を披露しました。ここでもやはり、技巧的にはしっかりしているが、さらっとしている感じが印象的でした。全く泥臭くならない。このようなリズムがあり、強奏もある曲なのにさらっとしている。「ああ、こういうことを是としているピアニストなのかもしれない」と思いました。あと20年経ったら、彼のポロネーズ第7番も聴いてみたいかも。
休憩時間には、Mさんを応援に来ていた社会学研究室の学生数名と会って少し話をしました。

さて、次はチャイコフスキーの「交響曲第5番」です。この曲は、私にとって相当思い入れのある曲で、5月にはそのことについてブログ記事を書いたりしていました。以前のブログに書いたとおりで、この曲は、私が生まれて初めてコンサートに行き、そこで第2楽章のホルンのメロディに心を打たれ、当時の憧れだった同じ吹奏楽部の女の子に、その第2楽章を吹奏楽に編曲して贈った曲でした。また、高校のときには、宝塚市の吹奏楽団で、この曲の第4楽章だけ演奏しました。そんなわけで、中学校のときにスコアを買って若い頭で読み込んでいますので、楽譜は相当細かいところまで頭に入っています。
このように、自分の中にいろいろと蓄積されたものがあるこの曲を、実際に生演奏で聴くと、自分がどんな反応をするのかが楽しみなような怖いような気がしていました。演奏が始まると、実際、頭の中で楽譜が動き出し、それが指先に伝わって、一緒にピアノで演奏しているような状態になってしまいました。控えめにしていたつもりですが、周りの人たちには、かなりキモかったかもしれません。周りの人たちごめんなさい。目は半分つむったままで、時々アインザッツを合わせるところでステージに目をやるというような感じでした。
演奏はといえば、よかったです。そりゃまあ、プロと比べてはいけませんが、オーケストラが、自分たちの曲にしていたという感じがありました。たぶん、この曲は、どのパートの人にとっても、やってみたい曲だと思うので、すごく熱心に練習できる曲だとは思うのです。また、チャイコフスキーは、オーケストレーションがうまいですし、適度な毒もあるので、演奏に没頭できるのだと思います。いろいろな要因があると思いますが、ともかく、細かいことを言わなければ、ちゃんと曲になっていました。しかも、低音に思いの外厚みがあって、サウンド的にはベルリン・フィル的な音づくりを目指しているのかなと思いました。
細かいところを指摘するとすれば...、第2楽章のホルンは、最初の音を外してしまったのはやはり緊張感に勝てなかったのかと思いますが、それ以降は、学生としてはおよそ及第点ではないでしょうか。あの優美なメロディを、しんどそうではありましたが、それなりの雰囲気をもって聴かせていたと思います。また、第4楽章のフィナーレは、指揮者の意向だと思いますが、金管楽器の鳴り方をコントロールして、ただガンガン鳴るだけではない抑制の利いた音づくりをしていたと思いました。金管の人たちは、もっと出したかったのでしょうけれども。指揮者に注文をつけるなら、ところどころであったかなり大げさなアゴーギクは、必要なかったのではないかと思いました。面白さよりも、曲の流れを損ねており、良質なパロディとは言えない気がしました。しかし、指揮者が学生の技量を把握していることもよくわかりました。第1楽章冒頭の「運命の動機」のテンポや、第2楽章冒頭のテンポは、やや速めに設定され、破綻が起きないように、しかし速すぎないように、うまいテンポ設定になっていました。また、同時に、あまり弱奏過ぎなくてもよいという指示があったのかもしれません。弱奏すぎると、管楽器のソリストが緊張しすぎて入りにくくなるからです。そのあたりは配慮されているなあと思いました。しかし、私的には、特に第2楽章冒頭の弦の2分音符の音量は、ちょっと大きすぎかなと思いました。そのあたりは、痛し痒しかなと。
しかし、全体として、よく練習し、よくコントロールされていると思いました。これだけできれば、聴いている側としては大満足でしたし、演奏している団員の人たちも満足度は高かったのではないでしょうか。
アンコールは、レスギンカ! 剣の舞ではなく、レスギンカ...笑 「いやー、おじさんにとっては、これ、懐かしいわー。」 この曲、私が中学生の頃は、吹奏楽コンクールの定番曲の一つでしたが、最近、めっきり聴かなくなった曲ですね。チャイコフスキーの第4楽章に完全燃焼し切れていなかった金管楽器が、ふっきれてめいっぱい吹いている姿に、笑いが止まりませんでした(もちろん、心の中での笑いです。本当に笑っていたら、キショイので)。コンクールで中学生がやると、ホルンが結構一番上の音を外すのですが、あれだけ吹きまくったら、外すこともないですね。
おじさんとしては、レスギンカでもう満足してしまい、その次はもうおなかいっぱい。うるさいばかりで、どうでもよかったです。

終演後、ロビーでObのMさんと、研究室一同で少し歓談しました。学生たちはプレゼントを用意していて、やっぱり、この研究室は、よい研究室であると思いました。その後、とあるレストランで、みんなとオムライスを(私はワインも)いただいて帰ってきました。
よい音楽とおいしいオムライス。そして、仲良しの研究室メンバー。心が幸せに満たされた数時間でした。

世は、民主党政権で、事業仕分け。「文化になんて金をかけるか」という姿勢がありありと見えますが、心が豊かにならない成長戦略っていったい...。そんなときこそ、学生オーケストラの存在意義が大いにあると思います。今日は、文化会館が超満員でした。学生だけでなく、老若男女、多くの人がいました。不景気で懐は寒い。松本市は気候も寒い。しかも今日は冷たい雨。そんな中、数百円でこれだけの演奏が聴けて心が満たされるのですから(しかも、私はMさんからチケットもらっているし...)。信大の、そして全国の学生オーケストラ、そしてアマチュア・オーケストラに、こんな時代だからこそ、さらに大きなエールを送りたいと思います。
univ-autumn01.jpg 科研の申請などに追われてあっという間に10月が過ぎていき、気づいてみると信州では秋が終わりかけていました。学内の木々の葉もすでにかなり落ちてしまっています。2,3日前くらいが見頃だったように思いますが、一気に落ちてしまいました。最後の美しい色を記録しました(10月30日午後2時頃、人文学部付近よりあずみホールあたりに向けて撮影)。

追記(11/2):
 それから週末を越すと,めっきり寒くなりました.ついに冬がやってきたという感じです.
 ところで,昨年信州にやってきて,その秋に思い出した曲があります.グラズノフの「四季」から「秋」です.今年も紅葉の最盛期だった1,2週間ほど前から,構内を自転車通勤しながらこの曲が頭の中をめぐるようになりました.
 この曲を知ったのは,高校の時に一時期だけ入っていた宝塚市吹奏楽団で取り上げたからだったように思います.それ以来どこかに忘れていた曲でしたが,信州の豊かな紅葉を見ていると,昔の記憶が蘇ってきました.
 ロシアの秋も信州の秋と似ているのでしょうか.ロシアに行ったことがないので(そもそもロシアといっても広いですし...)向こうの秋がどんな秋なのか知りませんが,信州のようにつかの間の秋なのではないかと想像します.秋が短いほど,秋に対する思い入れが強くなるように思います(少なくとも私はそうです).その秋の収穫を祝う賑やかさや紅葉の豊かさを,グラズノフは情感をもった短い曲にしたのだと思います.
 私の感覚では,今日のように寒い雨が降ると,もうこの曲が似合う短い季節は終わってしまったように思います.『名曲・名盤』などに取り上げられることのない曲ですが,知らなかった方も来年の秋にでも一度聴いてみてください.幸せな気分で秋の紅葉が楽しめると思います.
 7月11日.この日は日中,阪大で某学会の編集委員会があり,関西にやってきました.
 その足でその晩行われる宝塚市吹奏楽団の第30回の記念コンサートに行ってきました.
 渡辺先生にご招待いただいた形になり,一番前の特等席で拝聴しました.
 プログラムは,以下のとおりでした.

指揮:渡辺秀之*,西村正行
1部
 アルメニアン・ダンス パート1* A.リード
 2009年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
  1.16世紀のシャンソンによる変奏曲 諏訪雅彦
  2.コミカル★パレード 島田尚美
  3.ネストリアン・モニュメント 平田智暁
  4.マーチ「青空と太陽」 藤代敏裕
 ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(コンクールバージョン)* 高昌帥

2部
 アルトサクソフォンとバンドのためのチャルダッシュ* V.モンティ:編曲(後藤洋:吹奏楽用編曲)(アルトサクソフォン:高畑次郎)
 歌劇「カルメン」より 闘牛士の歌 G.ビゼー(石川喬雄:編曲)
 ロンドンデリーの歌 P.A.グラインジャー(M.ロジャース:編曲)
 朝鮮民謡の主題による変奏曲 より J.B.チャンス
 ラプソディ・イン・ブルー* G.ガーシュウィン(高橋徹:編曲) (ピアノ:松村英臣)

 久しぶりに渡辺先生の音楽を満喫しました.私が宝梅中学校で先生から指導を受けていたころの自分たちの学年と比べてはいけませんが,基本的な音作りのコンセプトとかは当時から馴染みのあるものであり,たいへん心地のよい音でした.バンドの基本となる音があり,それに加えて,西村さんの指揮のときには,若々しい音が鳴り,渡辺先生のときには芳醇な音が鳴っていました.指揮者によって特有のブレンド法があるのだと思いました.
 曲目は,自分の知っているアルメニアンダンスをはじめ,自分もどこかで演奏したことがある朝鮮民謡の変奏曲など,懐かしい曲が多くて,演奏を聴きながら,昔のことが思い出されました.
 現在の団員さんたちの個人の技量はたいしたものでした.アルメニアンダンスパート1は,どこでどの楽器がこけやすいかということを私は知っているほうだと思いますが,そのあたりもほころびなく演奏されていて感心しました.
 このくらいの演奏ができるので,プロの演奏家の方が2人も協演しに来ていただけるのだろうと思いました.単なるバックバンドという感じではなく,ソリストとバンドの双方が刺激を与え合っているように感じられました.このくらいのレベル(実際,全国大会で金賞を取ったこともある)になると,アマチュアという域は越えていて,セミプロと呼んでもよいのではないでしょうか.少なくとも,アマチュアバンドを冷や冷やしながら聴くといったレベルではありませんでした.

 演奏会終了後,楽団員のレセプションが同会場で行われ,私も渡辺先生にお礼を言うために残っていて,それに参加させてもらいました.私が20数年前に一時的に入団していた頃の懐かしい方々もいらっしゃって,昔話をしたりしました.また,宝梅中学校吹奏楽部の出身者も数名いて(いずれも,ずっと下の学年でしたが),歓談しました.ともかく,もはや演奏する技術も機会もなくなってしまった身としては,ずっと音楽を続けていける機会をみなさんがもっておられることが,ただただうらやましかったです.しかも,渡辺先生のもとなら言うことなしですね.
 帰りは,宝梅中学校の後輩でコンマスのTさんの車に同乗させてもらい,いろいろな話をしながら実家まで送ってもらいました.
 短い時間でしたが,とても濃厚な時間を過ごすことができました.その後も,阪神大震災のこと,吹奏楽を通じての友人・知人関係のことなど,さまざまなことが浮かんでは消え,消えては浮かびというような感じになっています.音楽の背景にあるいろいろな事柄を考えるとでもいうのでしょうか.まだ,自分の中で処理し切れていない感じがします.

 先日,GWを利用してインタビュー調査に行ってきました.
 今年は,音楽祭の市民への心理的・社会的影響について,学部の同僚のH先生と私の研究室の学生とともに調査を行っています.今回のインタビュー調査は,その一環でした.
 今回お邪魔したのは,昨年まで「アフィニス夏の音楽祭」(以下,A音楽祭)が20回にわたって開催されていた飯田市でした.2日間にわたり,のべ9人(私はそのうち6人)の方々にお話を伺いました.A音楽祭は,運営に市民が参加する比重が高いとか,リハーサルを見学できるとかいうような特徴があったのですが,今回は,そのような運営に当たった方々や,リハーサルを見学した方,コンサートに参加された方々などの中から,その中でもかなり積極的に関わってこられた方々を中心にお話を聞いてきました.
 本当にみなさんがA音楽祭に,そしてまたご自分の音楽活動に精力的に取り組まれていることがわかりました.その音楽に向ける情熱に,お話を伺っているだけでもこちらがうるっとくるくらい感動しました.それぞれの方々から生きる喜びのようなものが感じられ,「美しい生き方」とは何かといったことを考えてしまいました.高校1年生のときに音楽の道を諦めてしまったことを多少なりとも悔やんだりしました.夢の中でもいいし,生まれ変わってからでもいいし,いつかは指揮をやってみたいと高校生の頃に戻ったように素朴に思いました.
 そんな中,私が1人でお話を聞いたある方と話が弾み,私の身の上話で,中学校3年生のときに,チャイコフスキーの「交響曲第5番」(以下,チャイ5)の2楽章を吹奏楽に編曲したという話をしました.すると先ほど,その方がメールをくださって,その方のチャイ5への思いなどをさらにいろいろとお話しくださいました.そうこうしているうちに,チャイ5のことをちょっと赤裸々ですが書いてみようと思いました.

 私は中学校1年生で吹奏楽を始めました.宝塚市宝梅中学校というところで,私が入学したとき教員になって4年目の若い渡辺秀之先生が顧問で指揮をされていました.5年目に全国大会に行くことを目標としておられ,まさに叩き上げの時期でもありました.実際に私が2年生である5年目に全国大会に初出場し,渡辺先生は,当時最年少で全国大会に出場した指揮者となられました.(その後も中学校の部では全国大会5年連続金賞(招待演奏1回),中学校の部での出場回数歴代3位(宝梅中学校と中山五月台中学校で計17+1回)という輝かしい実績をおさめてきておられます.)しかし,あろうことか,その初出場の2年生のときの1年間,私は父親のサバティカルで米国ミシガン州のアナーバーに行くことになってしまい,宝梅中学校にはいなかったのでした.
 チャイ5との出会いは,そのアメリカででした.その夏,私は家族旅行でミシガンから東海岸方面に旅行に行きました.そして7月4日頃,米国建国のゆかりの地であるフィラデルフィアにいたのです.そこで野外コンサートがあることがわかり,父と私とでフィラデルフィア管弦楽団の演奏を聴きに出かけたのでした.指揮はユージン・オーマンディだったと記憶しています.当時私はあまりよくは知りませんでしたが,父はコンサート前から,「数ドルでこんな演奏会が聴けるなんて」と興奮していました.そこで私は生まれて初めてコンサートに行き,生まれて初めてチャイ5を聴いたのでした.その2楽章は,あのホルンのソロは,暮れゆく野外の雰囲気にあまりにも美しく溶け込んでいました.あの光景は,ぼんやりとではありますが忘れられないものになりました.
 日本に帰国し宝梅中学校に戻りました.3年生になり,同じ部活の同級生に恋をしました(恥).私はその思いを何とか伝えたくて,そこで何を思ったのか,1学期の期末テスト期間,部活がないことをよいことに,ほとんど何も勉強せず,チャイ5の2楽章を吹奏楽に編曲して贈るということをやったのでした.まさに,「恋は魔術師」(笑).その恋は実ったような実らなかったようなよくわからない感じでしたが,ともかく,そのコピー(原本は彼女に贈ったので...)を渡辺先生に見せたら,「天才やな!」とおだてられ,私もその気になって音大の作曲科に行こうと思ったものでした.高1までは東京芸大を目指そうか,京大で天体物理をやろうかと,わけのわからないことを考えていました.そして今,私は社会学をやっていますが,これは中間的着地点だったのか,何なのかよくわかりません.
 ともあれ,今年のこの音楽祭関係のお仕事,これは相当にはまりそうです.しかし心配なのは,自分がそのうち社会学を放り出して,再度音楽の道を歩もうなんてことを考えてしまうのではないかという怖さです.しばらく童心に返ったように夢想する日がありそうです.

最後にせっかくなのでちょっと宣伝.
 渡辺先生と宝梅中学校吹奏楽部の記録CD「憧れをだきしめて」が出ています.私が出演した1983年の演奏も入っています.

また,渡辺先生がその後着任された中山五月台中学校吹奏楽部の「輝きをだきしめて」も出ています.

 だまされたと思って一度聴いてみていただけるとうれしいです.

 まずは,演奏会に行くことになったいきさつから.先日,学食の前で学生からチラシを手渡されました.ふだんはチラシは受け取らないのですが,ふと見ると,「吹奏楽団」の「定期演奏会」の文字と,懐かしの「アルメニアン・ダンス パート1」(以下,AD1)の文字が踊っていて,思わず受け取ってしまいました.(AD1は,私は中学校の時に吹奏楽をしていたのですが(宝塚市立宝梅中学校),中1の時に,先輩たちがコンクールで演奏し,関西大会で銀賞を取った曲でした.1年生の私は,廊下で腹筋をしながら先輩たちの練習を聞いていました.)
 今週末は,冬支度のため,久しぶりに東京に帰らないことにしていたので,興味津々で行ってみることにしました.うちの研究室には吹奏楽団の人はいないけれども,交響楽団やジャズ研など音楽に関わっている人が多く,学内の団体の演奏会には一度行ってみたいなと思っていました.(残念ながら,交響楽団とジャズ研の定演は日程の都合がつきませんでした.またいずれ.)
 念願かなって松本市文化会館に出かけました.まだ10月に来たばかりで文化会館がどこにあるかも知らなかったのですが,大学の近くであることを知り,ちゃりんこで出かけました.(まだ自動車はないのです.)演奏会にちゃりんこで出かけるのは初めてではないかと思いました.宝塚市の(今はなき)市民会館は,武庫川を挟んだ反対側の山にあったため,ちゃりんこはありえないことでした.
 ともあれ行ってみると,文化会館があまりに立派なのでびっくりしました.これぞ箱物行政の一環かと思いましたが,松本市は音楽の街としてがんばってほしいので,私としてはとやかく言うつもりはありません.
 以下,吹奏楽経験者ということで,やや厳しい書き方のところもありますが,基本的には楽しいひとときを過ごさせてもらいましたし,応援していますので,どうかあしからず.

 当日券500円を買って入ると,ロビーでサックスのアンサンブルをやっていました.実は私は中学時代はサックスでした.音は粗めかなと思いましたが,楽しげに演奏していました.

第1部
 座った場所が悪いのか,こういう音響なのか,大学生がこんなにいるのに,「人数のわりに音が小さい」というのが,最初の数音を聞いた印象でした.「低音の人数が相対的に少ないのかも」,「サックスの音がポップス調で違和感がある」,「同じ楽器の音色が揃っていない」と感じ,最初はマーチなのに,この後大丈夫かなと不安になりました.
 「マゼラン~」はクラリネットの縦の線のほころびをはじめとして,パート練習と全体練習をこなしていない印象で,音が平板になってしまっていました.また,やはり低音が薄いので落ち着かない感じがしました.
 「AD1」は,「行け,行け」になってようやく音が鳴るようになってきましたが,アマチュアバンドがよく運指や音程を外すところで,ことごとく外していて「1つくらい決めてくれよ」という印象でした.また,やはりサウンドが一本調子で縦線を合わせることだけに精一杯の感じがしました.私がこの曲を知りすぎているから,厳しめの評価をしてしまうのかもしれませんが....ちなみに,曲が終わって最初に拍手の一発目だったのはたぶん私です.
 第1部は,高校までで多くの人たちが一度はやったことがある曲を思い出してやれば何とかなると思ったのかもしれませんが,それでも縦線を合わせることばかりに気が取られてしまっていて残念でした.曲想は強弱だけで出るわけじゃないことは分かっていると思うのですが.
 救いは,ともかく気楽で楽しそうに演奏しているところでした.第2部で立て直してくれることを願いつつトイレ休憩.

第2部
 第2部は,見違えるほどの変貌ぶりで,驚いてしまいました.「もしかして,第1部は楽器が冷めてたの? それともあまりに団員がポップすぎるのか?」 ともかく第1部よりずっとリラックスして吹いていて,音もまろやかになってきている.フルートのイケメン君は,ソロもダンスも秀逸.彼は理学部か.いい人材がいるなぁ.

第3部
 最初の曲は,全く初耳の曲.第1部と比べると楽器は鳴ってきているものの,やっぱり主張したいことがよく分からなかったです.音色が一本調子なので,場面の移り変わりが見えてこなかったように思いました.
 ところがです.最後の最後になって,指揮者が変わったら,別のバンドに変わってしまいました.完全によい方向に裏切られてしまいました.金管とサックスの音は割らずに抑制されている.各パートのアンサンブルもこれまでよりはるかに揃っている.内声の動きが明確になっている.何よりも低音が分厚くなって全体が極めて安定感のあるサウンドになっている.この曲に限っては,各楽器の音色が統一されていました.流れもやや重い気もしたが淀みなかったです.色彩はもう少し練習すればもっと幅が出そうだと思いましたが,全体として素晴らしかったです.曲に緊張感があり,聴衆も聴き入っていました.大学生の体格と人数に見合った素晴らしい演奏になっていました.この一曲で500円の元は取ったという気にさせてもらえました.

 このバンド,初心者もいるようですが,丁寧に練習したらとてもよいものが引き出せるようです.個人的には,オリジナル曲の曲数を減らしてもう少し完成度を上げる方向でやってもらえると,満足感がもっと高かったのではないかと思いました.小うるさくて申し訳ないとは思いますが,それでもまた聞きに行かせてもらいたいと思います.また楽しい演奏会を期待して応援しています.団員のみなさん,お疲れ様でした.楽しいひとときをありがとうございました.

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