2009年1月アーカイブ

安曇野市の「市民講座(信州大学講座)」(三郷公民館)で,1月21日(水)に「中越地震からの復旧・復興におけるネットワークの効果」と題して話をしました.

まず,若干私の中越地震に関わる研究の経緯を話したあと,最近発表した論文の成果について紹介しました.そして,その結果をどう活かしていくかというお話をしました.
安曇野市のみなさんにとって少しでもお役に立てる話ができたのなら幸いですし,また,それが,調査に協力していただいた被災地の方々のご恩に報いることだと思っています.

話の内容は,少し難しいところもありました.数字がたくさん入った表を載せたりしていたので,取っつきにくかったという方もいらっしゃったのではないかと思います.社会学は調査の結果をいかに読み解いていくかが腕の見せ所です.中越地震の話としても,また,研究の話としても,味わっていただけたらよかったのではないかと思います.数字の部分をあえて省かずに出させていただきました.

皆様の率直なご感想などをお寄せいただければ幸いです.また,どこかでお目にかかりたいと思います.

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ここからは事後談ですが,安曇野市の広報誌に,話の要約を載せていただいたようです.
広報:3月18日号
かなり正確に載せていただいています.
お礼申し上げます.
(追記:5月9日)
 世の中には偶然の一致ということがある.
 クローン牛は,遺伝子が操作されて一致するのだが,自然を人工的に操作できることに対して驚きを感じるかもしれないが,そのように操作しているのだからそうなるという意味では偶然でも何でもなく当たり前のことかもしれない.
 しかし,全く何の操作もしていないのに,自然が全く非人工的に生じさせる一致というのは,自然そのものが生み出す偶然として驚きを感じさせる.
 私は先日夜遅く家に帰り,ふだんのように駐輪場に自転車を止めた.ふと見ると,それまで見たことのないおそらくは新しい自転車が止まっていた.なぜ数ある自転車の中でそんなことに気づいたかというと,その自転車が私の自転車と全く同じ種類だったからである.それまでうちの駐輪場には,同じ種類の自転車はなかったから気づいたのである.
 「何だ,そんなことはよくあることだ.同じ近所の店で自転車を買ったらそうなるっていうことだろう.」そんな声が聞こえてきそうである.しかし,話はまだ続きがあるのである.
 私は何となくイヤな予感がして,自分の自転車の鍵を外し,その自転車に鍵をかけてみたのである.すると......,何とその自転車の鍵が開いたのである.「んな,アホな!!」

 私はこれはその駐輪場に止めておくと,朝になってその自転車の持ち主が私の自転車に乗っていってしまうかもしれないと思い,とりあえず,自分の自転車はうちに入れておくことにした.
 翌朝,私は早めに家を出た.駐輪場にはその自転車がまだ止まっていた.私は,盗難防止用のシールの番号を2つ控えてから自転車の販売店に出かけた.
 私は昨夜の驚きを刻銘に伝え,そして,この鍵を付け替えてくれないかと頼んだ.そこの店員のお兄さんは,まだ自転車の販売からそれほど経っていないことから,在庫の鍵の番号を確認し違う番号であることを確かめて,付け替えてくれた.たいへん好感の持てる対応であった.そしてさらに私は尋ねてみたのである.
 「あのー,こんなことは,よくあることなんでしょうか?」「いやー,珍しいことですね.」「そうですよね.昨日は本当にびっくりしました.同じ宿舎に同じ鍵番号の自転車を持つ人がいたなんてね.」「私も実はこんなことは初めてです.」
 はっきり言おう.その鍵の番号は3桁だった.したがって,2台のメーカーの同じ自転車が同じ番号の鍵である確率は,1-(1-.001)*(1-.001)=.001999である.およそ1千分の2.この程度だと,自転車泥棒を試みる人がいたとして,同じメーカーの自転車を500台当たらないといけないことになり,あまりにも非効率である.
 しかしながら,私はそこに止めてあった複数台の自転車の鍵の番号の並びの特性から,実は番号は3桁だが,実質的には2桁と同じ程度ではないかということに気がついた.そうだとすると,2台が一致する確率は,1-(1-.01)*(1-.01)=.0199となり,100台に2台となり,これは自転車泥棒としては,結構効率がよいのではないかと思う.また,隣あった自転車が偶然にということも結構ありうることだとわかったのである.
 私はとっさに上の計算(概算)をし,ワイアーの鍵を別に買うことにした.大学では同じメーカーの自転車を見かけるし,また,結構自転車が盗まれたという話も聞く.私自身,傘と自転車は天下の回りものではないかと思っている.今回は,このような驚きがあって未然に自転車の「一般交換」や盗難を防ぐことができた.
 ともあれ,自転車の鍵の番号が3桁以下の人は,ワイアーの鍵などを別に買った方がよい.せいぜい1千円程度(安いものだと300円台くらい)である.1千円で盗難にあったときの煩わしさを防げると思えば安いものである.
 しかし,ちょっと待った.問題をすり替えてはならない.問題は,この世にどれだけあるかもわからない自転車の中で(それがあまり現実的な意味がないとすれば,松本市にある自転車の中ででもかまわないが),何気なく駐輪した2台の自転車が同じ種類の自転車であり,かつ,同じ番号を持つ確率ではなかったか.後者については手がかりがつかめたが,前者の方は,自転車の台数の推測の仕方,同じ種類の自転車の存在する台数の推測の仕方,などがわからないと解けないだろう.まだ,最終的な答えは見えてこない.

Asahi.com 2009年1月19日8時44分

記事内容:

 【ワシントン=勝田敏彦】新しい年を迎え、「今年はやせるぞ」などと誓いを立てた人も多いと思われるが、英国で精神保健上の問題の相談や啓発をしている 民間団体マインドは「無理な誓いは立てないで」と呼びかけている。達成できず、精神的に落ち込んでしまうことなどが心配されるからという。

 マインドによると、英国では約700万人が「新年の誓い」を立てると推定されているが、「自分は太っている」「自分は不幸だ」といった自己否定に基づく誓いは、それだけで、自信喪失や軽度のうつにつながる可能性がある。

 呼びかけはまた、1年後に新年の誓いが達成されるのは10人に1人という過去の研究を参照し、「多くの人は現実的でない目標を立てて『あきらめた』『屈服した』と感じており、精神保健上マイナスになっている」と指摘する。

 マインドは、無理な「新年の誓い」を立てるよりは、軽い運動や園芸などを続けることや、楽器演奏や語学の習得など何か新しいことへの挑戦を勧めている。

コメント:
 精神的健康とか精神保健というのは,近年のマジックワードだと思うが,そのことと関わっているだけで信憑性も確認せず記事に取り上げられてしまうようで,困ったものである.
 まず,精神的健康ばかりに注目するのはいかがなものかと思う.目標はそのとおりにそのレベルまで達成できなかったとしても,少しでも目標に近づければ,「実質的に」多少ともプラスになっているのではないか.何もしないよりマシだという可能性もあると思うがどうだろうか.
 「自己否定に基づく誓いは、それだけで、自信喪失や軽度のうつにつながる可能性がある」? もともとネガティビティ・バイアスが強い人が,負の側面ばかりに注目するので,達成できなかったことばかりに目がいって,ますます精神的にマイナスに作用するということなんじゃないの(ネガティブ方向へのポジティブ・フィードバック).ネガティビティ・バイアスがふつうのレベルの人であれば,特段に問題になるほどのことはないのではないか.あるいは,自己否定に基づく誓いをする時点で,そもそもその点については自信がないのであって,達成するかしないかという問題でない可能性もある.
 もっと根本的に言えば,これってデータはなく,単なる解釈にすぎないのでは? 民間団体って,単なるイデオロギー集団ってこともよくあるので,記者もきちんと信憑性を確認すべきだと思う.
 「一年の計は元旦にあり」ということで,日本人も「新年の誓い」をしてきたが,それ自体は,一般的には正の効果の方が大きいのではないだろうかと思う.文化心理学によれば,日本人は「自己改善動機」が西洋人より強いらしい.だとすれば,この記事から推察されることは,日本人はさぞかし「落ち込む」ことが多いのかなと思うが,日本人は(一部の「精神的健康」に過度に反応する連中を除けば)そんなにヤワじゃない.
 むしろ,「軽い運動や園芸などを続けることや、楽器演奏や語学の習得など何か新しいことへの挑戦」だって,できなければ落ち込むんじゃないんだろうか.話が支離滅裂だと思う.
Asahi.com 2009年1月18日11時31分

記事内容:

 証券の売買をするトレーダーは、薬指が長い人の方が向いているらしいことが、英ケンブリッジ大の調査でわかった。ロンドンの金融街シティーで短期取引を専門とする男性トレーダー44人を調べた。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 胎児期に男性ホルモン(アンドロゲン)が多く作用すると、生殖器や手足の成長を促す遺伝子に影響し、薬指が長くなる傾向がある。

 研究チームは、人さし指と薬指の長さの比率と、トレーダーの収益や経験年数などとの関係を調べた。すると、薬指が相対的に長いグループ(人さし指が薬指 の93%の長さ)と短いグループ(同99%)の収益の差は1人当たり年60万ポンド(約7800万円)以上になったという。

 男性ホルモンは、自信やリスク指向性、ねばり強さに関係するとされ、競技スポーツの能力との関係がわかっている。研究チームは、短期売買に必要な集中力や反応速度に影響するとみている。(香取啓介)

コメント:
 サンプル数44.
 遺伝やホルモンで何でも語ってしまう,おバカな記事の典型.
 ケンブリッジにも社会的要因など全く思いも付かないおバカな医者がいて,査読者もしかりということ.
 「男性ホルモンは、自信やリスク指向性、ねばり強さに関係するとされ」,「競技スポーツの能力との関係がわかっている」のかもしれないが,「短期売買に必要な集中力や反応速度に影響」というのはいかがなものか.こんな説が正しいとすれば,証券トレーダーには一般に女性は男性より不向きということになるだろう.また,私自身は証券トレードの現場を知らないが,一瞬にして売買のコールをするとかいう能力が必要なのだろうか.そうだとすれば,ピストルの音にとても早く反応するように鍛える短距離ランナーや水泳競技のアスリートたちがトレーダーの中に溢れかえる日が遠くないなんて推論もありうる? あまりにバカげた話である.

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