Asahi.com 2009年7月2日10時13分
記事内容:
テーマパークで遊べば、家族や恋人の「きずな」が深まる――。そんな脳科学調査の結果を、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が1日発表した。
USJで遊ぶ前後に自分たちの集合写真を見せて脳の活動を調べたところ、遊んだ後は数値が最大10倍以上増え、より愛し合っていると感じることが確認され
たという。
調査の詳細は、USJと共同で研究を進めてきた杏林大医学部の古賀良彦教授(精神神経科)が1日、東京で開いた説明会で公表した。
実験は先月、6組16人の家族や恋人、友人を対象に行った。USJで4時間半楽しんでもらい、その前後に、光トポグラフィーという装置を用いて、
脳が活発に活動すると数値が高くなるオキシヘモグロビンの濃度を測定。あわせて心理状態を客観的に評価するためのテストも行った。
脳の測定では、対象者にスライドで他人の顔を見せていき、家族や恋人同士で一緒に撮影した写真が出てきた瞬間の状態を記録した。
結果は、右脳から左脳まで測定した16カ所のすべてで遊んだ後の数値が高かった。特に右脳の一部では、遊んだ後の数値が遊ぶ前の14倍に上昇。右脳は主に感情をつかさどっており、写真を見た瞬間に強い感情の動きがあったことが確認できるという。
感情がどう変化したかを自己評価してもらうテストでは、家族やパートナーと「愛し合っているか」「理解しあっているか」という質問への肯定的な回答の割合が、遊ぶ前と比べて大幅に高かった。遊んだ後はストレスが大きく減ったことも分かった。
古賀教授は「複数の脳活動を測定した結果、明らかに差が出た。脳科学の見地からテーマパークでの体験によってきずなが深まることが裏付けられた」と話している。(佐藤亜季)
コメント:
光トポグラフィーとかいう装置がどうしたこうしたということについては,何も知らないので,とりあえず「そうですか」としか言いようがないが,アクティブに活動すれば脳は活性化されるだろうということは,想像に難くない.
それにしても,心理尺度がずさんという印象である.家族やパートナーと「愛し合っているか」「理解しあっているか」なんて,ふつうの心理学者なら,そんな訊き方はしないだろう.そんなことを遊ぶ前後で2回測ったら,実験参加者もバカじゃないから,「ああ,この研究者は,後の方で「より」愛し合ってるとか,理解し合ってると肯定的に答えてほしがっているんだわ」と気づくこと必定である.こんなずさんなやり方は,心理学者は取らないものである.
しかし,まあ,常識的に考えても,楽しい経験をしたら,一緒にそれを体験した人に対してポジティブな感情が高くなることは当然だろうとは思う.しかし,私が問題にしたいのは,それが遊園地やテーマパーク,とりわけUSJでなければダメかというと別にそういうわけでもないだろうということである.私は,近くの公園で子どもと一緒に遊んでも,十分に楽しいし満足ですよ.問題は,USJやテーマパークが,他とは違い格別の効果を持っているかどうかが問題ではないだろうか.そしてまた,ふつうの公園と比べて有意に効果があったとしても,それが果たして数千円,家族なら1万円を超えるかもしれない出費に見合った返報があるかという点も重要であろう.家計管理者にとって1万円をUSJで消費するストレスは,結構高いと思うのだがどうだろうか.
それから,この記事のような効果があるとしても,実際には効果は一時的なものだろう.それは,テーマパークに行ったことの感情の高まりが継続するわけではないからである(いつまでもハイテンションが続くのは逆に問題だろう).この記事では,事後測定がいつ行われたのかについては明確な記述がないが,仮に遊園地を出た時点ですぐに測定が行われたとすれば,タイトルにある「愛は深まる」というのは,一時的な昂揚感が反映されている可能性が高く,やや言い過ぎの感がある.もちろん,愛が経験の積み重ねで「少しずつ」深まっていくことはあるだろうが,テーマパーク1回で愛が「断然」深まるほど,愛というものがちっぽけではないことを私は逆に望みたい.